1960年代の日本では水産部の生産量は増えていましたが、工業などの第二次産業が成長したため、農村や漁村から都市部に移って、工場や会社で働く人が増えました結果、漁業者の数は減少しました。
その後、漁業を取り巻く状況は悪化していきます。1970年代には、各国の200海里宣言で漁場が狭まり、遠洋漁業画が打撃を受けました。1980年代後半からは、日本近海の水産資源が減ってきたことなどから、沖合・沿岸漁業の漁獲量も急激に減少しました。
漁獲量も減り、とった魚の値段も上がらず、収入に繋がらないこと、また自然相手の危険で厳しく、そのうえ長時間労働の仕事であることから、特に若い人が漁業から離れていきました。
現在、漁業者は約20万人と過去40年間で3分の1以下に減り、現在働いている漁業者の約30%が65歳以上の高齢者となっています。また、船などの居住・労働設備も、古いものを長く使うことが多く、若い人が敬遠する原因の一つとなっています。
沿岸漁業などを中心に家族で働く漁業者の1年間の漁業収入は、この20年余り、500万円前後で推移しています。ここから船や網の修理代、燃料代などの経費を差し引くと、漁業で得られる純粋な所得は約200万円になります。
1990年代に入ってから漁業所得は少しずつ下落してきていますが、物価上昇を考えると、実質的には、かなり減少しているといえます。漁獲量の減少に加え、輸入品の増加によって水産物の値段が下がっていることや、燃料費の高騰も生活を苦しくしている一因です。
2005年の沿岸漁業者の平均は221万円で、漁業以外の所得を合わせた総所得は517万円でした。漁業からの所得は全所得の半分以下に過ぎません。年金や他の仕事をしている家族の差さえ長ければ、生活していくのは難しいというのが現状です。
漁業が最大の生活手段である離島では、人口の減少が問題となっています。例えば長崎県の五島列島では、1960年代に14万人いた人工が、今では半分近くに減り、高校卒業者の約8割は、進学や就職のため島を離れています。
五島列島の漁獲生産量は、長崎県全体の約3割を閉めていますが、その生産量も2004年には、10年前の約40%以下にまで減少してしまいました。